「打撲だから慰謝料は少ない?」「月にどのくらい通院すれば良い?」「いつまで治療できる?」——交通事故の打撲は別表II(軽症用)で算定され、弁護士基準で 通院1ヶ月19万円・3ヶ月53万円・6ヶ月89万円 が目安です。
結論から言えば、打撲・むちうち等の軽傷は 別表II が適用され、自賠責基準では 4,300円×通院日数(実通院日数×2が上限)。弁護士基準は自賠責の約2倍 で、適切な通院頻度(月10日以上)と弁護士介入で慰謝料を最大化できます。
ただし、打撲が3ヶ月以上長引く場合は 隠れた骨折・むちうち の可能性があり、後遺障害14級9号の認定も視野に入ります。本記事では、打撲慰謝料について 通院期間別相場・自賠責計算式・最大化の4ポイント・隠れた傷病・後遺障害認定 まで、判例と実例で完全解説します。
打撲の慰謝料相場(通院期間別早見表)
打撲は別表IIで算定
打撲・捻挫・むちうち等は軽傷に分類され、弁護士基準では 別表II(軽症用) が適用されます。重傷の別表I(むちうち以外の重症用)と区別されるため、金額が低めです。
通院期間別の早見表
| 通院期間 | 自賠責基準 | 弁護士基準(軽傷・別表II) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | 8.6万円 | 19万円 | +10.4万円 |
| 2ヶ月 | 17.2万円 | 36万円 | +18.8万円 |
| 3ヶ月 | 25.8万円 | 53万円 | +27.2万円 |
| 4ヶ月 | 34.4万円 | 67万円 | +32.6万円 |
| 5ヶ月 | 43.0万円 | 79万円 | +36.0万円 |
| 6ヶ月 | 51.6万円 | 89万円 | +37.4万円 |
弁護士基準は 自賠責の約2倍。同じ通院期間でも弁護士介入で大きく増額できます。
重要ポイント
- 慰謝料は通院期間(事故〜治療終了)で決まる
- 自賠責は実通院日数も影響(×2が上限)
- 弁護士基準は通院期間ベースで純粋計算
→ 弁護士基準は「弁護士基準」、計算式は「慰謝料 計算方法」を参照。
自賠責基準の計算式と仕組み
計算式
自賠責基準は以下の式で算定されます。
慰謝料 = 4,300円 × 対象日数
対象日数は以下の 少ない方 を採用:
- 入通院期間(事故から治療終了まで)
- 実通院日数 × 2
計算例①|通院期間60日・実通院20日
- 入通院期間:60日
- 実通院日数×2:40日
- 対象日数:40日(少ない方)
- 慰謝料:4,300円 × 40日 = 17.2万円
計算例②|通院期間60日・実通院35日
- 入通院期間:60日
- 実通院日数×2:70日
- 対象日数:60日(少ない方)
- 慰謝料:4,300円 × 60日 = 25.8万円
計算例③|通院期間90日・実通院30日
- 入通院期間:90日
- 実通院日数×2:60日
- 対象日数:60日(少ない方)
- 慰謝料:4,300円 × 60日 = 25.8万円
重要な特徴
実通院日数 × 2が入通院期間を上回るには、月15日以上の通院 が必要です。それ以下なら 実通院日数 × 2 = 対象日数 となります。
つまり通院頻度を上げるほど自賠責慰謝料も増える構造です。
弁護士基準(別表II)の詳細
別表IIの基本表(軽傷用)
| 通院月数 | 別表II慰謝料 |
|---|---|
| 1ヶ月 | 19万円 |
| 2ヶ月 | 36万円 |
| 3ヶ月 | 53万円 |
| 4ヶ月 | 67万円 |
| 5ヶ月 | 79万円 |
| 6ヶ月 | 89万円 |
| 9ヶ月 | 109万円 |
| 12ヶ月 | 119万円 |
通院期間が長くなるほど 増加幅が逓減 する設計です。
別表IIの通院密度の影響
通院期間が短いのに通院日数が極めて少ない場合、別表IIでも減額される運用があります。
通院日数の目安
- 月10日以上:標準扱い
- 月5〜9日:やや減額の余地
- 月5日未満:大幅減額の可能性
入院ありの場合の加算
別表IIには入院月数による加算もあります。
| 入院期間 | 通院3ヶ月の場合 |
|---|---|
| 入院なし | 53万円 |
| 入院1ヶ月+通院3ヶ月 | 83万円 |
| 入院2ヶ月+通院3ヶ月 | 105万円 |
入院月数の加算は 大きく増額 されるため、入院期間中は慰謝料が一気に積み上がります。
別表IIと別表Iの違い
別表I(むちうち以外の重症用)は同じ通院期間でも 別表IIの1.3〜1.5倍 の金額。打撲・むちうちは原則別表IIなので、症状が重い場合は 別表I適用 を主張するのが論点です。
打撲の慰謝料を最大化する4ポイント
ポイント①|月10日以上の通院
推奨される通院頻度
月10〜15日 の通院が最適。通院期間と実通院日数のバランスを取ります。
通院頻度別の慰謝料(通院2ヶ月の場合)
- 月5日(実通院10日):自賠責8.6万円
- 月10日(実通院20日):自賠責17.2万円
- 月15日(実通院30日):自賠責17.2万円(上限)
弁護士基準では月10日が標準
別表IIで標準扱いを受けるため、月10日以上の通院が事実上の最低ライン。
ポイント②|弁護士基準での交渉
保険会社の提示は 自賠責基準または任意保険基準 が標準で、弁護士基準より低額です。
弁護士基準への変更で
- 通院3ヶ月:25.8万円 → 53万円(+27万円)
- 通院6ヶ月:51.6万円 → 89万円(+37万円)
弁護士介入で 2倍以上の増額 が標準です。
ポイント③|治療打ち切りに応じない
保険会社からの「もう打ち切りで」という通告は、医学的判断ではなく 支払い抑制戦略 です。
対処法
- 医師の意見書(治療継続必要との診断)取得
- 自費通院(健康保険利用)の継続
- 弁護士介入で延長交渉
自費通院の注意点
健康保険を使うか自費かで医療費の取扱が変わります。弁護士相談で適切な対応 を選択するのが王道です。
ポイント④|後遺障害14級9号の認定
打撲でも痛みが長期化する場合、14級9号(局部に神経症状を残すもの) の認定可能性があります。
認定要件
- 6ヶ月以上の継続通院
- 自覚症状の医学的説明可能性
- 神経学的検査での裏付け
- MRI等の画像所見との整合性
認定された場合の追加慰謝料
- 後遺障害慰謝料:110万円(弁護士基準)
- 後遺障害逸失利益:100万〜200万円程度
打撲でも +200万円超の増額 が見込めるケースもあります。
→ 後遺障害は「後遺障害認定」を参照。
打撲が長引く場合の対処と隠れた傷病
一般的な打撲の治癒期間
打撲は通常 2〜4週間で治癒 します。3ヶ月以上引きずる場合は 他の傷病が隠れている可能性 が高くなります。
隠れた傷病①|むちうち(頚椎捻挫)
「打撲」と診断されたが実は 頚椎捻挫(むちうち) だったケース。事故直後はレントゲンで異常なしでも、後日MRIで判明することがあります。
むちうちの慰謝料
打撲と同じ別表IIで算定されますが、通院期間が長期化 するため最終慰謝料が増えます。
隠れた傷病②|骨折・骨挫傷
レントゲンで見逃されていた 微細骨折・骨挫傷 が、後日MRIで判明することがあります。
骨折が判明した場合の影響
- 別表I(重傷用)への変更可能性
- 慰謝料が 1.3〜1.5倍 に増額
- 治療期間の延長で総慰謝料が大幅増
隠れた傷病③|内部損傷・神経損傷
打撲の影響で 内臓・神経の損傷 が後から判明するケース。
- 腹部打撲後の臓器損傷
- 頭部打撲後の脳震盪・高次脳機能障害
- 末梢神経損傷
これらは 重大な後遺障害 につながる可能性があります。
対処法
①専門医への受診
整形外科だけでなく、脳神経外科・神経内科・内科 の専門医にも受診。
②MRI検査の依頼
レントゲンで異常なしでも、MRIで微細損傷が判明することがあります。
③医師への詳細な症状説明
「全部の症状」を医師に伝え、診療録に記載してもらうことが重要。診療録の記載 が後の慰謝料・後遺障害認定に決定的に効きます。
④弁護士相談
3ヶ月以上の長期化なら弁護士相談で総合的な戦略を立てます。
打撲事故の損しないチェックリスト
事故直後
必須対応
- 警察への通報(110番)
- 救急搬送 or 病院受診(事故当日中)
- 事故状況の記録(写真・動画)
- 加害者の氏名・連絡先・保険会社情報
初診の重要性
事故から 遅くとも1週間以内 に整形外科を受診。「事故と症状の因果関係」を医学的に立証します。
治療期間中
通院の鉄則
- 月10日以上 の通院継続
- 医師の指示通りの治療
- 痛みの記録(日記をつける)
- 仕事・家事への影響記録
治療打ち切り通告への対応
- 医師に治療継続意見を取得
- 書面で延長交渉
- 自費通院の継続
- 弁護士相談
整骨院併用の注意点
医師の指示なしの整骨院通いは 慰謝料減額の論点 になります。整骨院併用は医師の指示書を確認してから。
示談交渉前
必須準備
- 弁護士への無料相談
- 弁護士費用特約の確認
- 全ての医証取得
- 後遺症の有無確認
弁護士費用特約
被害者の任意保険のオプションで 最大300万円 の弁護士費用を保険会社が負担。特約付帯率は約70%超 で多くのケースで利用可能。
完全成功報酬制
特約がなくても、着手金ゼロ・報酬金は増額分の15〜25% の事務所を選べば初期費用ゼロで依頼可能。
示談書サイン前の最終確認
- 慰謝料の算定基準(弁護士基準か)
- 過失割合の妥当性
- 通院日数の認定
- 後遺障害の有無
- 清算条項の内容
「サイン前の弁護士相談」が後悔しない最後の砦です。
打撲の総額シミュレーション
ケース1|通院1ヶ月・実通院10日
- 入通院慰謝料:8.6万円(自賠責)→ 19万円(弁護士基準)
- 治療費:自賠責で全額カバー
- 休業損害:5,700円×実休業日数
弁護士介入の効果
慰謝料約 +10.4万円 増額。
ケース2|通院3ヶ月・実通院30日
- 入通院慰謝料:25.8万円(自賠責)→ 53万円(弁護士基準)
- 休業損害:賃金センサス基準で増額
弁護士介入の効果
慰謝料約 +27万円 増額+休業損害増額。
ケース3|通院6ヶ月・実通院50日+14級9号認定
- 入通院慰謝料:51.6万円(自賠責)→ 89万円(弁護士基準)
- 後遺障害慰謝料:32万円(自賠責)→ 110万円(弁護士基準)
- 後遺障害逸失利益:年収500万円 × 5% × 4.6(5年)= 115万円
- 総額:自賠責約143万円 → 弁護士基準 約314万円
弁護士介入の効果
総額 +170万円程度 増額。
打撲慰謝料の判例・裁判例
東京地判 令和3年7月20日(通院5ヶ月)
打撲・頚椎捻挫で通院5ヶ月の事案。保険会社提示43万円に対し、弁護士介入で別表IIの79万円が認容。約2倍の増額が実現しました。
大阪地判 令和2年4月15日(14級9号認定)
打撲後の頚部痛が6ヶ月継続した事案で 14級9号認定。後遺障害慰謝料110万円+逸失利益120万円が認容され、総額約350万円 を獲得しました。
横浜地判 令和元年11月8日(隠れた骨折)
「打撲」と診断されたが、後日MRIで 微細骨折判明。別表I適用で通院4ヶ月の慰謝料が 67万円→90万円 に増額された判例です。
名古屋地判 平成30年8月22日(治療打ち切り対抗)
通院3ヶ月で打ち切り通告された事案で、医師の意見書を提出して継続を認めさせ、通院6ヶ月で89万円(別表II弁護士基準) を獲得しました。
打撲慰謝料に関するFAQ
Q1|打撲は別表IIと別表Iのどちらで算定されますか?
A. 原則 別表II(軽傷用) です。ただし骨折・骨挫傷が判明した場合や、症状が重く後遺障害が残る場合は 別表I適用 を主張できます。MRI等の画像所見が論点になります。
Q2|打撲で通院1ヶ月の慰謝料はいくらですか?
A. 自賠責基準で 8.6万円、弁護士基準(別表II)で 19万円 が目安。実通院日数10日以上が標準です。
Q3|打撲で6ヶ月通院した場合の慰謝料は?
A. 自賠責基準で 51.6万円、弁護士基準(別表II)で 89万円。14級9号認定がつけば後遺障害慰謝料110万円が加算され 総額200万円超 も可能です。
Q4|打撲は何ヶ月くらい通院できますか?
A. 医学的には 3〜6ヶ月 が一般的な上限。それ以上は 後遺障害認定 に切り替えるのが王道です。保険会社の打ち切り通告は無視して医師判断を優先します。
Q5|打撲で14級9号は本当に認定されますか?
A. 認定例はありますが厳しめ。6ヶ月以上の継続通院・神経学的検査の異常・MRI等の客観所見 がないと困難。被害者請求で医証を充実させると認定確率が向上します。
Q6|整骨院に通っても慰謝料は同額ですか?
A. 同額になりません。医師の指示書なし の整骨院通いは慰謝料算定で減額される傾向。整形外科を主軸にし、整骨院併用は医師の指示書を取得してから。
Q7|打撲で休業損害は請求できますか?
A. できます。会社員なら毎月 休業損害証明書 を会社に書いてもらい、保険会社へ提出。専業主婦・自営業も賃金センサスや実収入で算定可能です。
Q8|打撲で弁護士費用は元が取れますか?
A. 弁護士費用特約があれば 常に元が取れます(自己負担ゼロ)。特約なしでも通院3ヶ月以上なら経済合理性あり。30分の無料相談で見立てを確認しましょう。
まとめ|別表II基準で2倍以上に増額・月10日通院がカギ
打撲の慰謝料は 別表II(軽傷用) で算定され、適切な通院頻度と弁護士介入で大きく増額できます。本記事のポイントは以下の3点です。
- 打撲は別表IIで算定・弁護士基準で通院1ヶ月19万円〜6ヶ月89万円:自賠責の約2倍
- 月10日以上の通院で慰謝料が最大化:実通院日数×2が対象日数の上限
- 6ヶ月以上長引くなら14級9号認定で+200万円超 も可能:後遺障害慰謝料110万円+逸失利益
「打撲だから慰謝料は少ない」という誤解で、本来受け取れる賠償の半分以下で示談する 結果につながります。
特に通院3ヶ月以上・痛みが長引いている場合は弁護士へ無料相談すると、隠れた傷病・後遺障害認定の戦略まで含めて慰謝料を最大化できます。