「自分の交通事故では、慰謝料がいくらもらえるのか正確に計算したい」──そう考える被害者の方は多いはずです。
交通事故の慰謝料計算は自賠責基準と弁護士基準(裁判基準)で大きく異なり、それぞれ計算式が定められています。
この記事では、両基準の計算方法を早見表と具体的計算例で詳細解説します。記事末尾の無料計算機で、あなたのケースの慰謝料も即時算出できます。
慰謝料計算の3ステップ
交通事故の慰謝料計算は、以下の3ステップで進めます。
ステップ1: 怪我の程度を分類
赤い本(弁護士基準)では、怪我の程度で算定表を使い分けます。
- 別表I(重傷用): 骨折・脱臼・他覚所見のある外傷
- 別表II(軽傷用): むちうち・打撲など他覚所見が乏しい軽症
ステップ2: 通院・入院期間を月単位で確認
通院月数・入院月数を月単位で算出します。月の途中で開始・終了した場合は日割りで計算します。
ステップ3: 慰謝料を算定
それぞれの基準で慰謝料を算定します。
自賠責基準の計算方法
計算式
入通院慰謝料 = 4,300円 × 対象日数
対象日数 = min(治療期間, 実通院日数 × 2)
具体例で確認
ケース1: 治療期間90日/実通院日数30日
- 実通院日数 × 2 = 60日
- 治療期間 = 90日
- min(90, 60) = 60日
- 慰謝料 = 4,300 × 60 = 25万8,000円
ケース2: 治療期間180日/実通院日数60日
- 実通院日数 × 2 = 120日
- 治療期間 = 180日
- min(180, 120) = 120日
- 慰謝料 = 4,300 × 120 = 51万6,000円
自賠責基準の上限
自賠責保険の傷害分は被害者1人あたり120万円が上限です。治療費・通院交通費・休業損害・慰謝料の合計が120万円を超える場合、超過分は自賠責からは支払われません(任意保険からの支払いに移行)。
弁護士基準の計算方法(別表I・別表II)
別表I(重傷用)入通院慰謝料 完全早見表
単位: 万円。行が入院月数・列が通院月数。
| 入院\通院 | 0月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0月 | 0 | 28 | 52 | 73 | 90 | 105 | 116 |
| 1月 | 53 | 77 | 98 | 115 | 130 | 141 | 149 |
| 2月 | 101 | 122 | 139 | 154 | 166 | 177 | 186 |
| 3月 | 145 | 162 | 177 | 188 | 199 | 209 | 218 |
| 4月 | 184 | 196 | 210 | 221 | 230 | 240 | 248 |
| 5月 | 217 | 228 | 241 | 251 | 260 | 269 | 277 |
| 6月 | 244 | 255 | 268 | 277 | 286 | 294 | 302 |
別表II(軽傷・むちうち用)入通院慰謝料 完全早見表
| 入院\通院 | 0月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 0月 | 0 | 19 | 36 | 53 | 67 | 79 | 89 |
| 1月 | 35 | 52 | 69 | 83 | 95 | 105 | 113 |
| 2月 | 66 | 83 | 97 | 109 | 119 | 128 | 135 |
| 3月 | 92 | 106 | 118 | 128 | 138 | 146 | 152 |
| 4月 | 116 | 128 | 138 | 147 | 156 | 162 | 168 |
| 5月 | 135 | 145 | 154 | 162 | 168 | 174 | 179 |
| 6月 | 152 | 160 | 167 | 173 | 178 | 183 | 187 |
表の使い方
入院月と通院月の交点が慰謝料額です。
例: 入院1ヶ月+通院3ヶ月(重傷) → 別表Iで入院1月の行・通院3月の列 → 115万円
例: 入院なし+通院6ヶ月(むちうち) → 別表IIで入院0月の行・通院6月の列 → 89万円
月の途中の場合
月の途中で治療開始・終了した場合は日割り計算します。
例: 通院期間165日(5ヶ月15日)
- 5ヶ月の慰謝料: 79万円(別表II)
- 6ヶ月の慰謝料: 89万円
- 1ヶ月分の差額: 89 − 79 = 10万円
- 日割り: 10万円 ÷ 30日 × 15日 = 5万円
- 合計: 79 + 5 = 84万円
ケース別計算例(自賠責vs弁護士基準)
ケースA: むちうち・通院3ヶ月(実通院30日)
自賠責基準:
- min(90, 60) = 60日 × 4,300 = 25万8,000円
弁護士基準(別表II):
- 通院3ヶ月 = 53万円
差額: 約27万円(弁護士基準が約2倍)
ケースB: むちうち・通院6ヶ月(実通院60日)
自賠責基準:
- min(180, 120) = 120日 × 4,300 = 51万6,000円
弁護士基準(別表II):
- 通院6ヶ月 = 89万円
差額: 約37万円
ケースC: 骨折・通院6ヶ月(実通院80日)
自賠責基準:
- min(180, 160) = 160日 × 4,300 = 68万8,000円
弁護士基準(別表I):
- 通院6ヶ月 = 116万円
差額: 約47万円
ケースD: 骨折・入院2ヶ月+通院4ヶ月
自賠責基準:
- 治療期間180日 × 4,300 = 77万4,000円
- 上限120万円以内のため77万4,000円
弁護士基準(別表I):
- 入院2月+通院4月 = 166万円
差額: 約89万円
ケースE: 重傷・入院3ヶ月+通院6ヶ月
自賠責基準:
- 上限の120万円
弁護士基準(別表I):
- 入院3月+通院6月 = 218万円
差額: 約98万円
通院・入院期間が長くなるほど、弁護士基準と自賠責基準の差額は拡大します。
後遺障害がある場合の計算
後遺障害等級が認定された場合、入通院慰謝料に加えて以下が発生します。
後遺障害慰謝料
| 等級 | 弁護士基準 | 自賠責基準 |
|---|---|---|
| 14級 | 110万円 | 32万円 |
| 12級 | 290万円 | 94万円 |
| 10級 | 550万円 | 190万円 |
| 7級 | 1,000万円 | 419万円 |
| 5級 | 1,400万円 | 618万円 |
| 1級 | 2,800万円 | 1,150万円 |
後遺障害逸失利益
逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数(喪失期間)
ライプニッツ係数(年3%・令和2年4月以降)の主要値:
| 喪失期間 | 係数 |
|---|---|
| 5年 | 4.580 |
| 10年 | 8.530 |
| 15年 | 11.938 |
| 20年 | 14.877 |
| 30年 | 19.600 |
| 49年(18歳未満) | 25.502 |
後遺障害ありの計算例
前提: 35歳・年収450万円・通院6ヶ月・後遺障害12級
- 入通院慰謝料(別表II): 89万円
- 後遺障害慰謝料: 290万円
- 後遺障害逸失利益: 450万 × 14% × 8.530(10年)= 約537万円
- 合計(弁護士基準): 約916万円
自賠責基準では:
- 入通院慰謝料: 51万6,000円
- 後遺障害慰謝料: 94万円
- 合計(自賠責基準): 約146万円
差額: 約770万円
慰謝料以外の損害項目
慰謝料以外の損害項目も忘れずに計算しましょう。
| 項目 | 計算方法 |
|---|---|
| 治療費 | 実費全額 |
| 通院交通費 | 実費(自家用車はガソリン代1km15円) |
| 入院雑費 | 1日1,500円(弁護士基準) |
| 付添看護費 | 1日6,500円〜7,000円(弁護士基準) |
| 休業損害 | 事故前3ヶ月の平均日額 × 休業日数 |
すべて計算した上で、慰謝料と合算したものが示談金総額となります。
無料の慰謝料計算機
ご自身のケースで自賠責基準と弁護士基準の慰謝料を即時計算するには、無料の交通事故慰謝料計算機をご利用ください。
入力項目:
- 入院月数・通院月数
- 治療期間(日数)・実通院日数
- 怪我の程度(重傷/軽傷)
- 後遺障害等級
- 年収・年齢
これらを入力するだけで、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・逸失利益を含む慰謝料総額を、自賠責・弁護士両基準で算出できます。
まとめ
交通事故慰謝料の計算方法について整理します。
- 慰謝料には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つ
- 自賠責基準: 4,300円 × min(治療期間, 実通院日数×2)
- 弁護士基準: 赤い本別表I・IIを使用、入院月+通院月の交点で算定
- 通院6ヶ月(むちうち)で自賠責51.6万円 vs 弁護士89万円
- 後遺障害ありなら等級・逸失利益で数百万円〜千万円単位の差
- 弁護士基準の獲得には弁護士介入が事実上必須
「自分の慰謝料は妥当か?」と感じたら、まずは計算機で算出した上で、保険会社の提示額と比較してみてください。乖離があれば弁護士相談のサインです。