弁護士 増田 保夫

弁護士 増田 保夫のインタビュー

弁護士 増田 保夫

法律家を目指した理由

高校時代は理系クラス選択で、法学部を目指していたわけでもなかったのですが、志望学部が定まらずに悩んでいた時、友人の父親から受けたアドバイスがきっかけとなり、中央大学法学部を受験しました。合格後、卒業生に司法試験合格者が多いことを知り、また、同級生の多くが司法試験を目指していることに刺激を受け、卒業後の進路として、法律家になるということを真面目に考え始めました。そのうちに、「現実のしがらみにとらわれず、正義の実現に奉仕する姿が格好良い」と裁判官に憧れるようになり、大学2年の春以降は試験勉強に集中する生活を送りました。

裁判官志望から検察官志望へ

その後、無事に司法試験に合格し、司法修習生になった当時も、裁判官を志望する気持ちは続いていました。一方で、弁護士については、依頼者の意向が優先される仕事というイメージを持っており、弁護士が社会で果たしうる役割などについてまで深く考えていませんでした。また、検察官については、刑事司法のみに関わる仕事という点に疑問を感じたりしていました。

そこから一転して検察官を志望するようになったのは、実務修習最初の検察修習のときでした。検事調書の録取や取調べなどを行う毎日に大きな充実感を覚え、やりがいを感じました。先輩検事と議論を交わす中で、「刑事司法を支え、正直者が救われる社会を維持するために働く」という検事としての気概を感じ、現場の楽しさが強く印象に残りました。このようなことから、当初目指していた裁判官ではなく、検察官になる決意を固めました。

検察官から弁護士への転身

増田 保夫

検事時代の10年は北海道~東京~九州と2~3年ごとに転勤しながら、さまざまな分野の事件を担当しました。とても忙しく、時には身柄事件を同時に10件担当したこともありましたし、役所に泊まり込んで事件処理したことも多かったです。目前の事件のことだけに集中し夢中で走ったのち、訟務検事(国が被告となった訴訟において国の代理人を務める仕事)を務めたのを機に、このまま検事を続けていった場合について考えるようになりました。検事の人事は任官後15年~20年ほどで捜査の現場を離れるのが基本です。私は、現場が好きだったため、将来現場を離れても検事を続けるかということに迷いを感じていました。また、妻や子供、両親など、家庭のこともこれからより大切にしていきたいという思いも重なったことで、退官を決心しました。検事としては面白い経験をさせてもらい、満足していましたので、特に何かやり残したという気持ちはありませんでした。

パートナー弁護士としての仕事を振り返って思うこと

弁護士に転身後、個人の法律事務所にパートナー弁護士として20年余り在籍しました。仕事を選ぶという発想は持たず、好きとか嫌いとかの個人的感情は極力抑えて仕事に取り組んでいました。業務分野としては、医療過誤、交通事故、建築、労働、刑事、企業法務と幅広く担当し、その中で印象的な事件にも多く出逢いました。

多くの事件を担当した中で、やりがいを感じたのは、難しい事件で有利な結果を勝ち取り、依頼者に感謝された時です。依頼者に有利な結果を勝ち取るのは弁護士として当然のことなのですが、やはり、こちらの主張が正しいと信じられるということが前提としてあります。資料を精査したうえで裁判所を説得できるだけの主張を用意できたと思えた時に、弁護士として満足のいく仕事ができたと思いました。

反対に気が進まなかったのは、依頼者が弁護士の判断を信用せずに処理方針を指示してきたりするなど、依頼者側と信頼関係が築けないというような事件です。弁護士としてベストを尽くしている自負はあるのに、依頼者にそれが通じない状態というのは、ストレスが大きいものです。

前事務所では、受任案件の大半が加害者側の代理人であり、不法行為の加害者の立場で勝ちにいくことが求められましたが、そのことで、私は大きなストレスを抱えるようになっていました。収入的には恵まれた事務所でしたが、このまま弁護士業を続けていくことに限界を感じ、「こちらの主張が正義に叶う環境で働きたい」という思いから、アディーレで働くという次の道を選択した次第です。

これから弁護士として働く方へのメッセージ

法律家になって仕事をしようと思った際に私が考えたこと、そして現在感じていることをお話ししたいと思います。
まず、「自分の信念を偽らずに済むのではないか」。これは裁判官に憧れていた時に思っていたことです。
次に、「立ち位置の正当性に悩むことがなく、仕事に対する誇りを持ち続けやすいのではないか」。これは検察官になろうと思った時に考えたことでした。
そして、弁護士になってから現在に至るまで、常日頃感じているのは、自分の信念や仕事に対する誇りを失わず、「依頼者の方との間に信頼関係を築けるような仕事のできる環境が大切」ということです。

やりがいを感じながら仕事をしていくには、「自分の信念を大切にできる」というのは不可欠だと思います。ただ、事務所に所属する場合、事務所の方針というのは仕事のやり方に大きく関わってきます。事務所の方針が自分の信じるところと違うと、たとえ労力をかけて裁判に勝ってもストレスのほうが大きく疲れてしまい、やる気を持てなくなってしまいます。たとえ収入面で恵まれていたとしても、自分の信念を曲げて仕事をしていては続かなくなってしまうのです。

私は、検察官時代も、弁護士になってからも、自分の信念を大切にし続けたいと思いながら仕事をしてきました。今後も、その信念は変えず、やりがいを感じながら仕事をしていきたいと思っております。
これから弁護士となる皆さんも、ぜひ自分なりの信念を持って、やりがいを感じながら働ける環境を見つけ、弁護士として活躍してもらいたいと思っています。